こんにちは。目頭熱い。居酒屋でご一緒した若い男性の意気に、心底感動した。今回のブログ、最後まで読んでもらえれば嬉しい・・・と、さてさて。
門司港へと旅に②11年ぶりにプレミアホテル門司港(旧門司港ホテル)に宿泊。最高だった。の続きを。2020年9月半ばの話だよな。
プレミアムホテル門司港には2泊するが、初日の夜はホテル外で、門司港のうまい魚を食べようと思った。事前にホテルにそのことを問い合わせしたら、曰く。「かざぐるまという割烹居酒屋がオススメですね」と。そうなんだ・・・予約して訪れたが、最高だった。写真を。2020年9月半ばの話だ。
ここが「かざぐるま」か・・・路地裏割烹という感じ。悪くなさそうだな。
女将さんと、仕入れたばかりの旬の様々な魚介。見るからに美味そう。さてさて、注文しようと思うが・・・
メニューは全てお任せ。但しテーブルに載った魚介から、これを出してくださいねというリクエストは歓迎と。そうなんだ。これは最高・・・まずは4,000円のコースをお願いしようかな。
突き出し。しったか貝と子持ちイカの煮もの。・・・美味いな。これは期待して良さそう。
おこぜのお造り。とんでもなく美味い!超新鮮な白身魚のお造りは往々にして。コリコリした歯ごたえは楽しめても、味が薄いことが多い。がこのお造りは、歯ごたえの良さとともに、白身の味も強く感じられ、とにかく美味い。〆てから一定の時間寝かせてるからだろうか。わからないが・・・と、これのアラを使って後程お味噌汁を作るので、綺麗に食べてくださいねと。わかりました・・・
岩ガキ!産地は天草。隣人が「この岩牡蠣は美味いぁ・・・」ということしきりなので、女将さんに「俺にも岩牡蠣、お願いします」と言ったら、「今出すところですよ~」だと。チュルっといただく。う~む、確かに美味し。
子持ちボタンエビの焼きもの。とにかくかぶりついて、殻だけ出してねと。これは・・・焼きエビとの旨みと甘みと香ばしさが同居してる。たまらない・・・にもかかわらず、すごいボリューム。う~む。こんなうまい焼エビ、食べるの初めてかもな。それほどに美味しだった。
アジフライ。隣人が「参った!これは美味い!」と小声で叫んでる。私もワンテンポ遅れて、「うん、これは美味いな!」と。アジフライって、作り方によってはこんなに美味く作れるもんなんだな・・・
鹿児島産の大きなウナギをその場でさばいて焼いてもらい、白身とタレとでいただく。これは・・鰻屋さんの焼き方と根本的に違うな。ほろっとしたウナギの身、パリっとした皮、その間に溜まった脂と旨み。う~む。生涯食べたウナギの中で、これが一番旨い!隣人も同じことを言っていたな。加えてボリュームもある。お腹がはち切れそうになってきた・・・
さきほどのおこぜのお造りのアラを使っての味噌汁。美味い・・・もう満腹なのに、それでもうまい。どうなってるんだ・・・
本当はこの後に、雲丹が載った卵かけご飯が出る予定だったらしいが、それは辞退した。もうお腹がいっぱい。これ以上食べられないって。
聞けばこのお店は、営業を開始して38年になる。それ以降この女将さんは、ずっと一人で切り盛りしてきたらしい。ここで食べれる魚介の調理方法はシンプルなもので、煮るか焼くか蒸すか生で出すかのいずれか、凝ったことをしているわけではない。にもかかわらずどの魚介も、素材に由来する「美味さ」が、とても良い感じで引き出されている。この美味さは、女将さんの38年に及ぶキャリアの中で、魚介の目利き、魚の「寝かせ」方、調理のノウハウなどを積み上げてきた結果ゆえなんだろうな。
メニューは常にお任せ。だからこの割烹にはいつ来ても、その時その時の旬の魚介素材を活かして、最高の料理を出してくれると思う。しかもコスパも良い。いうことなし、おススメです。とにかく、参った。凄いお店があったもんだな。門司港に。
さて、ここからが重要なんだ。
この日は美味しいだけじゃなく、嬉しい出会いもあった。先ほどから「隣人」と書いているのは、この日偶然出会った、地元の若者男子二人組。年齢的には私よりも二回りぐらい若いと思うが、彼らのハートが素晴らしかったな。
彼らは私よりも少し早く来ていて、やはりお任せで食べていた。で、「美味いなぁ、ここの魚は。本当に美味い美味い」と連発していた。それが聞こえたので、私も。「こちらの方が食べているこの魚介、同じものを出してくれませんか?」と注文し、結果、同じように「これは美味い!とにかく美味い!」と繰り返していた。
このお互いの「美味い!」「美味い!」がきっかけで意気投合し、少し距離感を持ちながらも美味さに共感しあえるような、そんな素晴らしい「空気」を持てたんだと思う。そんな中で。
彼らは、はまぐりの鍋を注文していた。その中には大きなハマグリが6個ぐらい入っていたのだが、そのうちの1つを私におすそ分けしてくれた。どうぞどうぞと。うお・・・私よりも2回り近く若い彼らが初対面の私に対し、そういうことをしてくれるのか?こんな嬉しいことがあるか?
いただいたハマグリは美味かった・・・というか沁みた。私はしばらくして女将さんに、「このはまぐり鍋は私の勘定につけてください」と申し出た。すると彼ら曰く。「どうか、お気を遣わないでください。お気持ちだけありがたくいただきます。今日は楽しい飲みになりましたね」との言葉を。
私は言った。「いやいや、そういうわけにはいかない。若い君たちにこんなに懇意にしてもらったうえ、おすそ分けもいただいてそれだけなんて、道理が通らないって。せめてこの鍋は、俺が払うのが筋だ。そうだろ?」と。するとだ。
言うに事欠いたんだろな。彼らの一人、頭を巡らせ・・少し考えたうえで曰く。「ここ門司港は、私たちの地元。だからここは、私たちの言う通りにさせてくださいよ!」だと。
なんて気遣いなんだ・・目頭が熱くなったよ。こんなこと言ってくれる若者がいるもんなんだなあ。嬉しかったよ。
私が先にこのお店を出たのだが、去るときに彼らに、このブログのことを伝えた。いつか今日のことをアップするから、見てほしいと。彼らの名前は聞かないでおいた。こちらの名刺も渡さないで置いた。これで正しかったんだと思う。
「またいつか偶然、このお店で再会できたらいいですね」と。彼らの一人が言ってくれた。私も同じ気持ちになり、「そうだね。それじゃあまたいつか。お先に」と、お店を出た次第。
長くなりました。もっと書きたいこともあるがこの辺で。このときのお二人、もしこのブログに気が付いたら、短いメッセージをいただけると嬉しい。そしていつかまた、このお店のカウンターで傾けることが出来たらもっと嬉しいな。
良い夜になった。人生、悪くないなって。つくづくそう思いましたね。
次回に続きます。