ある方からtwitterで、ある方から以下の質問を受けました。
「浜口さん、1990年の時は郵船と商船三井の株価に差がないのに、2007年には倍近く両社に差があるのは何故なんでしょう。当時のことを知りたいです。お時間ある時に教えてください。」
なるほど。素朴な疑問ですが、良い質問です。お答えします。まずは、両銘柄の過去30年足を見てみましょう。
1990年から2007年にかけて、商船三井の株価が日本郵船よりも大きく値上がりしているのは、以下の2つの要因によります。
まず第一に、商船三井は1999年にナビックスライン(ジャパンラインと山下新日本汽船の合併会社)を合併していて、その時の資本のやりくりに起因し、新「商船三井」の株価は、日本郵船よりもやや高い株価になりました。
具体的には合併に伴い、新「商船三井」の一株当たり純資産(BPS)が日本郵船よりも大きくなったことが背景です。
続いて海運株の2007年の大相場のときのテーマは、中国の経済成長シナリオでした。この時には、郵船比較で中国ビジネスの比率が高い商船三井の株価がより高く評価されたというわけです。加えて、これもやはり中国の経済成長に起因しますが、原油価格が大きく値上がりしていた。WTIで140ドル/バレル以上に。この部分も、郵船との比較でタンカー部門の比率が高い商船三井の株価に、ポジティブな影響をもたらしました。
さて
この2007年の海運株相場のスケールは本当に大きなものでしたが。最後はあっけなく終わりました。
海運株株価の天井打ちの背景には、中国の景気減速懸念の台頭とそれに伴う運賃の下落、それにリーマンショックに前後しての海運運賃暴落と株価大暴落が追い打ちをかけました。これに加え、運賃が暴騰したため、各海運会社は「これは儲かるぞ!」と超強気になり、造船会社に船を発注しまくった。これが完全に裏目に出て、リーマンショック後の景気が悪い時に船が完成し供給過剰に。それ以降、海運株の暗い日々が続いたというわけですね。う~む、この時は悲惨だったよな・・・
一方で
ここもと、日本郵船と商船三井の株価が逆転しているのは、日本郵船が日本航空貨物(NCA)を持っている部分が背景にあります。足元では新型コロナの影響で海運運賃が急騰していますが、航空貨物運賃の上げっぷりは、海運運賃以上のようで、これがこれまでお荷物だったNCAが大幅黒字転換し、郵船の収益にプラス寄与している。その部分が、商船三井比較で、郵船に株価のプレミアムをつけている。そう考えます。
以上です。質問してくれたRちゃん、ありがとうございました。