これは2009年8月。だからもう12年前か。懐かしい。東日本大震災前だ。でもここで紹介する宮古市魚菜市場は、今も健在。だから情報が陳腐化しているわけではない。ただしこのウニの値段は、2009年当時のもの。その後再訪して驚いた。これと同じものが、4,000円近くしていた。う~む・・・でも、美味さは変わらないと思う。紹介させてもらいますね。
先日、仕事で岩手県は三陸、宮古に行ったときに訪れた、宮古市魚菜市場。ここはよくある観光用の市場ではなく、地元の人たちも買いに来る生活に根ざした市場だけど。ここの魚介が新鮮で素材の質が高く、かつとても安くて驚いた。
三陸のウニは、6月から8月が旬だそうな。この時期にこの市場に来れるとは、なんという幸運!!ということで、市場で宮古のウニを買って食べてみた。驚いたことに、宮古産のウニが、牛乳瓶(!)に詰めて売られている!う〜む、これを一人で食べるのは、さすがに重い。ということで、このほぼ半分のサイズの瓶を買いました。それがこの写真にあるもの。
市場内には、購入した魚介を食べることができる、テーブル・食事コーナーもある。そこでご飯と味噌汁を出してもらうこともできる。しかしこの時は当方、宿での朝食後まもなくだったので、ウニだけをいただくことにした。
まずはビンの中のわずかな海水とワサビでいただく。これがなんともまろやかでクリーミー。口の中ですぐに溶ける。たまらないな。無条件に旨し。臭みやえぐみなど、風味に関するネガティブな要素がまるでない。涼やかで濃厚な旨みだけ。
ウニばかりをひたすら食べる。これは贅沢だよなぁ。そして最後の1/3は、醤油とわさびでいただく。いつものウニの食べ方であるが、やはり旨し。それ以上でも以下でもない。
聞けばこの瓶詰め、ミョウバンを使わず海水につけてあるだけなので、鮮度を保つのが大変。3日程度しか持たない。市場の方曰く。「これが三陸の、本当のウニの味。ミョウバンの苦みもないし、とにかく新鮮。産地以外で食べるウニとそれ以外とでは、比較にならないと思いますよ」とのことだった。なるほどな。当方は実に納得。
ウニは、身を殻から取りだして放っておくと、2~3日くらいで溶け出して形が崩れてしまう。それでは売り物にならないので、通常はウニをミョウバンに浸して、ウニの身を固めてから出荷する。それが生産地以外で流通されているウニなんだそうです。なるほどな…
あとウニの味わいは、ウニが食べるもので微妙に異なるとの話。礼文や小樽など北海道のウニは、昆布を食べている。一方で三陸のウニは、昆布ではなくワカメを食べている。そのために三陸のウニは、北海道産と比較して、少しさっぱりめの味であるとか。まあ、いずれも、甲乙、つけがたいと思うが。
ウニ以外にもこの時期は、岩牡蠣が旬らしい。私がウニを食べていたテーブルの隣では、岩牡蠣を食べていた女性の 2人組が。こちらの方も「こんなにおいしい生牡蠣は、いままで食べたことがない!本当に、おいしい、おいしい!!」と、無茶苦茶、感動してましたね。
聞けば昨日はやはり宮古に泊まっていたが、朝食はここで食べることに決めていたと。ここ、最高ですよねと。そうなんだ…当方はもう満腹で、岩牡蠣までは食べることができなかった。今度リベンジしたいな。
思ったのは。魚介の中には、こちらから産地に出向かないと、本当においしいものは食べることができないものがある。典型的なのは、冬の日本海のブランドズワイガニ。松葉ガニとか越前蟹とか。カニは水揚げした瞬間から餌を食べなくなると言うから、おいしい生の蟹を食べるためには、こちらから産地に出向くしかない。だから関西の人たちは冬になると、香住とか城崎温泉とか餘部の方とか。旅行かたがた、訪れるわけですよね。
そういう点では、ウニもそうだろうな。ミョウバンの入っていない、無添加の生ウニ。三陸のウニであれば、市場で言えばこの宮古魚菜市場と、青森は八戸の魚菜小売市場くらいが最有力候補だろうな。いつかぜひ、再訪、果たしたい。う~む。人生、悪くないって。