いよいよ夕餉。いずれも琵琶湖の幸づくし。宿のご主人は漁師でもあり、この宿の沖合、竹生島近くに仕掛けた定置網にかかる琵琶湖の魚を、この漁師民宿では供していると。毎朝4時に仕掛けた網を上げ、魚を捕るのだと。何がかかっているかは、行ってみないとわからないと。さてさて、今日の水揚げはどんな塩梅だろうか。
まずは先付、先八寸。左からビワマス寿司、ビワマス卵塩漬け、小鮎の甘辛煮、赤こんにゃく、モロコの甘辛煮、鮒寿司。全て手作りと。琵琶湖の幸づくしのイントロダクション。それぞれに旨し。
お造り。左はイワトコナマズ、右上はビワマス、右下は子持ち鮒の卵まぶし。う〜む。たまらんな。ナマズは淡白なお味、スルっと入ってしまう。臭みなどまるでなし。ビワマスは濃厚、琵琶湖のトロかな。トロの脂と上品な甘みを併せ持つ。鮒は卵が口の中でつぶれる時、チーズのような味わいが加わり、淡白さとこってり感が共に。これに溜まり醤油がよく合う・・・最高でした。八寸とお造りは、ビールとよく合うな。
ビワマスは琵琶湖だけに生息している。ビワマスはおいしい鮎を贅沢に食べているので、おいしくて当然と。またビワマスは鮎のほかにエビも食べているから、身が美しい紅色になると。そうなんだ。
ウグイの甘辛煮付けとビワマスの塩焼き。ビワマスは焼いても抜群に旨く、ウグイと交互に食べると飽きがこない。ウグイは鯉のようなクセが感じられるが、交互に食べれば、それも緩和される。たまらんな。
今回の最注目料理!うなぎ鍋。琵琶湖の天然うなぎを白焼きにして脂を落とし、鰹と昆布だしベースの出汁で野菜と一緒に煮た鍋で、「じゅんじゅん」と呼ばれるらしい。う〜む。美味し。うなぎは焼きの香ばしさとうなぎ自身の旨みと出汁の旨みが相まって、どうにも美味しではあるんだが…
この料理に関しては正直、違和感があった。うなぎが少ない。もっと多く乗せてほしかった。鍋に敷き詰めるように。それは下記の、JR東海に紹介されていた「じゅんじゅん」の写真からイメージされるように。
このあたりを食後、ご主人に尋ねた。曰く、先週の台風以来、漁が不調、特に天然うなぎとビワマスはここのところ、あまり網に入らないと。加えてこの写真は、じゅんじゅん3人前だからと。
説明は腑に落ちなかったが、まあ、網にかからかったものはしょうがない。その分、他の魚介でサービスしてくれたんだと思う。
イワトコナマズのから揚げ。塩でいただいてと。あっさり味だった。ナマズは豊漁だった様子。沢山出してくれて・・お腹がはちきれそう。こちらは十分満足だった。
食後は部屋に戻り、いつもながら、赤ワインの一人のみ。いつのまにか行き倒れるように寝ていて、気が着いたら朝だった。
今日も天気がいい!早速、朝の散策へ。これは宿の前の琵琶湖。遠くに見えるのが、ご主人が網を出している竹生島。いいな。
聞けば宿の前のここには、11月から2月ぐらいまで、白鳥の群れが渡来してくると。シベリアから越冬して、また帰っていくと。だからこの期間に宿に来てもらえれば、晴れていさえすれば、毎日白鳥の群れを見ることができますよと。そうなんだ・・・
朝餉。ビワマスの味噌漬け焼きがたまらない。脂が乗ってるな。お味噌汁の味噌は手前味噌、四年物と。琵琶湖のシジミが入っている。これは深みのある汁。ほっこりとな。
さてさて、今回は小旅行。9時過ぎにチェックアウトし長浜まで送迎してもらい。在来線特急がこの時間ないので米原ー名古屋間は新幹線で。お昼前には名古屋についた。
今回の小旅行を総括すると。琵琶湖は様々な魚介に恵まれているが、今回ほど琵琶湖づくしを極めることが出来た旅は初めて。魚介の豊富さと言う点では、今回訪れた北琵琶湖がずば抜けて秀逸なんだろうなと、一応はそう感じた。宿は民宿なので、その点質素である点は如何ともしがたく、滞在型の宿ではない点は承知の上での旅。食事は前述のうなぎ鍋「じゅんじゅん」以外は、期待を上回った。
一方でこれは今回に限たことではなく、これまでもブログでも書いていることではあるが。琵琶湖は天気が良ければ本当に綺麗、でも天気が悪いと、救いようのない暗い暗いムードになる。だから天気次第でイメージはまるで変わる、ハイリスク・ハイリターン型の観光地であることは忘れてはならない。
その点では当方、今回はかなりのリスクヘッジを行った。本来は先週末に行く予定だったが、天気が悪いのでキャンセル。今週は3連休だが、やはり天気は良くない予報。宿には空きがあったため、週末、2日両日とも押さえてもらい、どちらかには必ず訪れますということで女将さんに了解いただいた。
初日は天気が悪そうでキャンセル。その翌日はさすがに義理を欠くので、天気如何にかかわらず、訪れるつもりだった。女将さんは、天気が悪いようなら両日キャンセルでもいいですよと言ってくれたが、さすがにそれでは申し訳ないと。琵琶湖の幸が食べることができればそれでいいや。そういう心づもりで訪れたが、結果はこのタインングが最高、二日とも晴れと合い成った。このような当方の旅行タイミングの判断と、民宿舟倉(ふなそう)さんの寛容さがあって、成立した嬉しい旅だったな。
ご主人から、今度は冬に来てください。鴨鍋を出しますし、宿から白鳥も見ること出来るからと言われた。これはこれまでに増して、天候リスクが高いんだろな。ここは冬は雪の日が多いから。
でも2月後半なら、雪が降るリスクは低下する。その頃日程が合えば、このリスクをとってみたくなる。そんな気持ちにさせてもらえた宿だったな。