浜口です。
昨日の東京株式市場は、感じさせられることが多かった。一つには米国の長期金利上昇に伴い、高いPER銘柄が今後、徐々に容認されなくなる。一方で株価の位置が相対的に低い景気敏感株の優位性が高まりそう。まあこのことは、これまでもここで言い続けてること。特に意見が変わったわけではない。
ショックだったのは、前場でTOPIXが2%弱下落していたので、後場は日銀によるETFの買い入れにより相場が下支えされると思われたが、市場は安値引け、日経平均は1202円のマイナスで終わったこと。
相場全体が上昇していることもあり、日銀は最近、買いを遠慮しているからな。でも今日は後場飼、買うのでは…と思われたが、後場も下落基調は続き結局は安値引け。日銀は買わなかったんだな…と思ったら、驚いた。
日銀の報告によれば、今日は501億円のETF買いを入れていた。にもかかわらず、相場に対するインパクトはほぼなかったということ。
これは仮説でしばらくは様子を見る必要があるが、日銀はETFは機動的に買うときは買うが、量的には株価に露骨にインパクトを与えないよう、買い方・買い付け金額を変化させてる可能性がある。
「前場で0.5%下がっていれば、後場に株価が上昇する」ような買い方はしなくなったのかもしれないな。確かに今日の前場の株価大幅下落を鑑みれば、501億円のETF買いという金額は、額としてはしみったれてるよな。
私の知り合いが嘆いていた。日銀のETF買いに便乗したトレーディングが、もう出来なくなるのかなと。今回はこの方のことを少し書いてみましょう。
彼は運用資金が1億円位あるが、そのうちメイン口座には6,000万円あり、信用口座も作っている。
この口座を中心に株式投資をしているが、その口座では信用取引で短期トレーディングもしている。彼の口座は、信用取引で日計りだと手数料が「ゼロ」になるんですね。
今までは、前場でTOPIXが0.5%以上下がっていれば、日銀が後場に買ってくれていた。それに便乗すればいい。それらしき銘柄を見つけてきて前引け直前に1,000万円近く仕込み、2%抜ければ20万円取れる。そんなトレーディングを繰り返してきた。
例えば昨日であれば、米国の長期金利が上昇しているわけだから、銀行株が相対的に有利なはず。一方で米国株式が下落しているから、銀行株は金利上昇のメリットが株価下落のデメリットで相殺されるかたち。であればこれまでなら、前場にTOPIXが大きく下がる局面では、前引け近くで買う手法が通用していた。銘柄は8306 MUFGで良い。銀行株のNo.1で、流動性もあるからな。
しかし昨日は、日銀のETF買いは、あたかもなかったかのようだった。終わって見れば買っているのだが、相場に対するインパクトは感じられなかった。彼は結局、いつもの手法で損切りを強いられた。
ある意味、一つの時代の終焉かもな。日銀はこれまでETFを買い続け、相場の下支えをした。これまでのETF買いは、株式の需給面で確実にプラスだった。ゆえに現在の水準の株式市場があるといえる。
これからは日銀に頼らなくても株価が下落しない、そんな時代に入っていく。というより、そうでなくてはならない。日銀のETF買いという補助車が外れる。それは子供が自転車にようやく乗ることができたときのように。
そんなふうに思った。昨日の相場を見ていて。
話が長くなりました。今回はこの辺で。3月は強気相場を見込みます。それはまた違う機会に考えていきましょう。