浜口です。
1999年ITバブルの話②なぜITバブルが発生したのか。の続きを。今回は、2000年にITバブルが崩壊した理由は何かを考えてみたい。この史実理解は重要なことですからね。
2000年にITバブルが崩壊した理由は何か。日米ともに共通することを先に述べると、結論から言うと、前号1999年ITバブルの話②なぜITバブルが発生したのか。でコメントした「2000年問題」はほとんど発生しなかった。そのため、2000年問題対応関連銘柄が肩透かしとなり、業績拡大期待が一気に後退し、高いPERは容認されなくなり、売り込まれる展開になった。
また特にわかりやすいのは半導体や電子部品で、2000年問題が発生すると膨大な半導体需要が発生し、特に半導体は奪い合いになる可能性すらあるから、電機や自動車などの最終メーカーが半導体や電子部品について、幅広く過剰発注をしていた。ところが2000年問題が発生しなかったもんだから、過剰発注分はキャンセルが相次ぎ、大幅な売り上げ減につながった。その結果、期待先行で買いあげられていた半導体・半導体製造装置・半導体のテスター・電子部品メーカーの株価は軒並み暴落した。これが日米に共通するITバブル崩壊の実際のところです。
以上に加え、日本株のITバブル崩壊のきっかけになったことがある。9435光通信の業績下方修正でしょう。当時はITブームで、IPO(株式の新規公開)されたIT関連企業は、とんでもなく高い値段がついていた。このような中、光通信はただでさえ期待感から株価が値上がりしている中、今後20から30のIT関連銘柄のIPOを立て続けに行うと発表した。そうなると、そのようなIPO銘柄はとんでもなく高いバリエーションがつくであろうから、連結対象になる光通信の投資価値は、とんでもなく高くなる。極論すると、株価はどこまでも上昇して容認される。そんなムードが支配的だったわけです。
ところが2000年2月14日の日経一面に、「光通信は今期経常利益が半減する見通し」との記事が出て、本業のフローの利益見通しが、思いもかけず不振であることが判明。IT関連銘柄のIPOの立て続け期待に酔っていた多くが、この業績悪見通しで目が覚め、これがきっかけとなり、20日連続のストップ安になった。これが2000年の日本のITバブル崩壊ですね。
以上に加え、当時のIT バブル崩壊は、2000年の米国のITバブル崩壊に連動したという考えがある。それもその通りでしょう。
但し、日本のITバブル崩壊のトリガーを引いたという点からは、件の光通信問題がきっかけなんでしょうね。
それを米国のITバブル崩壊が後押し(?)した。そんなイメージでしょうか。日本株の米国株連動性については、当時20年前ももちろん意識されてはいましたが、その度合いは現在ほどではなかった。特に個人投資家の意識は、「海の向こうでも、IT株が暴落してるらしいね」といった程度と理解てもらえれば正しいと思います。現在とは異なり、米国株の情報が瞬時に入ってくる状況ではありませんでしたしね。
また米国のITバブル崩壊は、1999年後半以降の米 Fed の連続利上げがトリガーになったという見方もある。この見方も正しいでしょう。但しこれは米国株の暴落のきっかけであり、それを受けて日本のITバブル暴落も発生した。こう考えるのが妥当です。
背景として、Fed の連続利上げは日本のITバブルを持たらした「空気」は当時は希薄で、米利上げは日本の暴落の「背景」「遠因」ととらえるのが正しいと思います。