熊本の水はとても美味しい。水道水のうまさは富山と並び、日本で一・二を争うと思う。実際、今回宿泊したANAクラウンプラザ熊本ニュースカイホテルの蛇口からの水も、十分おいしく飲むことができた。
さて
今日はそんな熊本の泉、阿蘇の麓にある白川水源を目指す。まずは熊本から豊肥本線の鈍行で立野まで。そこからは旧国鉄高森線、現在は南阿蘇鉄道高森線に乗り換え白川水源駅へ。テツとしては、終点の高森まで完乗したいところだが、今回は時間の余裕なく、途中の白川水源駅までの旅。でもこれが本当に素晴らしかったな。
まずは阿蘇の麓にある白川水源の地図を。この地図では経路はわかりづらいが。大分から熊本に向かう豊肥本線。そこから枝分かれした旧国鉄高森線、現在は第三セクターの南阿蘇鉄道・白川水源駅近くに、名水・白川水源はあるんですね。
南阿蘇鉄道の白川水源駅。ここは白川水源への訪問を容易にするため、3年前にできたばかりらしい。無人駅。ここから5分程度歩いていくと・・・名水・白川水源に到着!ものすごくきれい。大量の水がこんこんと湧き出ている。ここから突然、川が始まるんだな。そんなイメージ。
湧いて出てきたばかりの水であるゆえ、生水で飲むことができる。ミネラルウォーターそのもの。
大きなペットボトルをいくつも持って汲みに来る地元の人が何人も。当方もこの状況をあらかじめ想定し、わざわざ空のペットボトルを持っていたので、自分で汲んだ白川水源の水を飲みながら、周辺散策することができた。当方はこういうの、本当に好きなんだよなぁ。
白川水源の湧水が、川の流れを作る。植物、生き物・・・自然も作る。きれいだよな。富士山の湧水、柿田川を思い出したが・・・でも水量は、こちらのほうが豊かだろうな。散策がてら、白川水源駅の隣の阿蘇白川駅へ。こちらは無人駅ではなく、Cafe 75th Streetという喫茶店が駅の仕切りも引き受けてる。この喫茶店にもちょこっと立ち寄らせてもらったが、なかなかいい感じだった。心が和む・・・とさてさてここから、豊肥本線に接続する立野まで戻ることにしよう。
南阿蘇鉄道高森線は、いろんな景色を見せてくれた。こんなのどかな鉄路風景のところもあれば、立野を出発したばかりは、結構高い位置から、トンネルと橋梁を交互に走り、渓流の車窓を見せてくれたりする。約30キロ前後と短い線だが、風光明媚、非常に変化に満ちた車窓の線だった。
さきほど散策しながら訪ずれた阿蘇白川駅では、駅に喫茶店が併設されていた。件のCafe 75th Streetだが、そこでは女性が一人で切り盛り、客は私しかいない。
珈琲をいただきながらこの方の話を聞いて、列車を待つ。曰く、旧国鉄高森線はかつて、終点の高森でやはり旧国鉄の高千穂線高千穂駅とつながり、九州中部を横断するテツ路線になる予定だった。が、高森から先はトンネル内での大量湧水で工事ができず、結局、高森線高森~高千穂線高千穂駅間の開通は叶わなかった。一方で旧国鉄高森線は利用者が少なく、国鉄が民営化するタイミングで早々に廃線、第三セクターに移行された。ちなみにその湧水が大量に出まくった高森トンネルは、現在は高森町湧水公園として保存されていると。
また阿蘇には、中国や韓国からの旅行者も来るが、彼らはバスで阿蘇を回るケースが多い。したがってここ阿蘇白川駅は、列車が来てもごくわすかな乗り降りしかないことが多い。ここはものすごい過疎地なんですよと言われていたな。
そうか。確かに周りの山や田んぼや川の景色は、島根県の山奥、木次線をイメージさせる。そんな超過疎状態。でも景色のキレイさと人口密度は反比例するように思う。
今回訪れたのは3月でまだ田んぼには何も植わってないが、これが夏とか秋であれば田んぼも山も、一面緑で本当に綺麗なので、その時にまた来てくださいと。実際そうなんだろうな。いつかまた訪れ、今度は終点の高森まで乗って完乗してみたい。その時はまた、白河水源やこの駅そしてこのお店も再訪したい。そんな思いに駆られた。
熊本・大分の旅が終わるが・・不思議と寂しい気持ちにはならなかった。違う季節にまた、ここに来ることにしよう。いや、必然的に来ることになる。英語で言うところの「will」ではなく「shall」だな。
熊本空港のラウンジでビールをごキュッといただきながら、今回の旅を振り返り。そんな想いが頭をよぎった。人生、悪くないな。