浜口です。
ここのところ、講演で出張がちなのですが。最近、「現在の世界経済は、本当に100年に一度の危機なのか?」ということを質問されることが多くなりました。今回はこの点について。
曰く、刺激を売りとする一部のお茶の間番組で、古館氏などがリーマンショックについて「100年に一度」と大騒ぎしているのはご存知の通りだが、ここにきてもう少し冷静な方々まで「100年に一度」と言い出している。麻生首相もそう言っているらしい。実際、どう考えるか?というもの。
ご参考まで、私は本件をこう答えてます。
「マスコミで現在の経済を『100年に一度の悪さ』という向きがいるが、皆さん本当にそう感じますか?私はそうは思わない。
100年に一度とは、世界恐慌との比較を指すのでしょうが、両者では大きく違う点がある。まず当時は、経済学・経済政策が現在と比べても明らかに未成熟で、危機に対し、首尾よく対応できたとは思われない。加えて当時と現在とで180度違うのは、経済政策における「国際協調」という点。
世界恐慌は第一次世界大戦後で第二次世界大戦前。この状況ではたとえば、フランスとドイツが経済で協調して行動というのは、とてもじゃないが考えられない時代ではなかったのか?
自国さえ良ければという発想。一方で今は、サルコジ氏が声かけして、ユーロ圏が連携して経済危機に対応しようとしている。ここのところが決定的に違うんではないでしょうか?
過去との比較では、金融機関の不良債権という点から言えば、むしろ日本のバブル崩壊と展開が酷似している。ただし展開のスピードは大違い、現状は当時の「10倍速ですね」と説明しています。
ご参考まで。